【7月7日 AFP】細胞小器官のミトコンドリア内に存在するDNAが、健康的な老化への鍵を握っている可能性があるとする研究論文が6日、発表された。遺伝子の一部を交換したマウス実験の結果だという。ミトコンドリア内のDNAは、母親からのみ受け継がれる。

 研究は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)以外はまったく同一の実験用マウス2グループを用いて行われた。その結果、一方のグループの方が老年期になってもはるかに健康で、活発であることが確認された。

 研究には、スペイン国立心臓血管研究センター(CNIC)の科学者らが参加した。同研究センターは声明を発表し、「われわれがどのように老化するかについては、老化のプロセスが始まる前、最初の兆候が現れるよりもっと前の時点ですでに決定されている可能性がある」と述べている。

 研究を率いたホセ・アントニオ・エンリケス(Jose Antonio Enriquez)氏はAFPの取材に、ミトコンドリアDNAの変異によって、さまざまな健康への影響が生じる可能性があることが、これまでの研究で示唆されていたが、「この問題については、観察結果が相反していたために、いまだに大きく意見が分かれたままだった」と語った。

 だがエンリケス氏によると、今回の最新の研究結果は、これが正しいことを「決定的に実証している」という。

 細胞核に存在する核DNAは、両親から子どもに受け継がれる一方、ミトコンドリアDNAは母親からしか継承されない。この遺伝子に起きる変異が原因で、ミトコンドリアに異常が起き、結果として臓器不全や死に至る場合もある。

 今回の研究で使用したマウス2グループのミトコンドリアDNA系統はどちらも健康で、遺伝コードの違いはわずか0.5%にすぎなかった。マウスはすべて、同一の核DNAを持つように交配された。