【7月6日 AFP】ドイツで現在稼働している原子力発電所の放射性廃棄物の最終処分場の運用が開始されるのは22世紀に入ってから──専門家が5日、報告書を発表した。

 研究者や業界リーダー、市民団体の代表らが集まった専門委員会は、ドイツ国内で間もなく段階的に停止される原発の高レベル放射性廃棄物を貯蔵する候補地選びについて数年にわたって議論を重ねてきた。

 委員会は当初、2031年までに最終処分場の場所を決定し、2050年までに施設の運用を開始する予定だった。

 しかし、数十年規模の計画は、委員会の委員長も「大望」と評したほどで、今回発表された最終報告書は、最終処分場の運用は「来世紀」にならないと始まらない恐れがあると述べている。

 これまではドイツ北部ニーダーザクセン(Lower Saxony)州ゴアレーベン(Gorleben)の貯蔵施設が検討されてきたが、デモ隊と警官隊が衝突し暴力的な衝突に発展する事態も多発している。

 最終貯蔵施設の選定が一層差し迫った課題となったのは、2011年の福島第1原子力発電所での事故を受け、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相が国内で稼働中の残り8基の原子炉を2022年までに全て停止する計画を発表してからだ。

 この決定により、専門委員会は一から候補地の見直しを迫られ、科学的基準に基づいて最終処分場にふさわしい場所を国内で選ぶよう指示されてきた。

 ゴアレーベンは現在も選択肢の一つとされているが、他の複数の場所も候補地として検討されている。(c)AFP