【7月1日 AFP】イタリアの警察当局は1日、トスカーナ(Tuscany)州プラート(Prato)で多発する北アフリカ系移民への襲撃に関与した疑いで、中国の犯罪組織の施設など9か所を家宅捜索したと発表した。

 プラートは欧州最大規模の中国人コミュニティーを擁し縫製業が急成長しているが、これらの工場は劣悪な環境で労働者を搾取する「ブラック企業」として悪名高い。

 警察当局は、犯罪組織と人種差別に基づいた暴力の容疑で令状を取得し、家宅捜索を行った。捜査の対象となっている人物は全員、中国の文化団体「The City of the White Stag(白鹿の都市)」につながりがあり、法令を順守している中国企業を「食い物」にしている疑いもあるという。

 警察当局の声明によると、同文化団体の代表はプラートでみかじめ料を集める一環として、自警団のような警備組織をつくり、犯罪とかかわりのないアラブ系移民に対する襲撃を行っていたという。

 これに先立って6月29日夜、プラートに近いフィレンツェ(Florence)郊外のセスト・フィオレンティーノ(Sesto Fiorentino)では、中国系の縫製工場への保健・保安上の査察が行われたことをきっかけに、中国人約300人と警察官が衝突する騒動が起きていた。

 地元の報道によると衝突のきっかけは、赤ちゃんを抱いた高齢の中国人男性が工場から立ち去ることを認められなかったことだったという。衝突で警察官4人と労働者3人が負傷した。(c)AFP