【6月30日 AFP】トルコ・イスタンブール(Istanbul)のアタチュルク国際空港(Ataturk International Airport)内で武装した男たちが銃を乱射している間、ハネムーン中のカップルは空港内にある美容室の戸棚の中に隠れて固く抱き合い、身をすくませて鳴り響く銃声を聞いていた。ただただ、見つからないようにと祈った。

 どうにかチェックインカウンターの下にもぐり込み、そのままじっとしているべきか、逃げるべきかと迷いながら難を逃れた人たちもいた。

 混乱の中、悪夢のような光景をスマートフォン(多機能携帯電話)の画面で確認する人や、現場の状況をソーシャルメディアで中継する人もいたが、多くの人々は何時間も家族や親しい相手の安否を知ることができなかった。

 アタチュルク国際空港のメインターミナルビルで起きた銃撃と3件の爆発について、その場に居合わせた人たちは、あたりは完全なパニック状態で恐怖のあまり胃がむかむかしたなどと証言している。イスタンブールで今年4件目となる今回の攻撃では外国人13人を含む41人が死亡し、239人が負傷した。トルコ当局はイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の犯行だと非難している。

 ちょうどチェックインカウンターで荷物を預けようとしていた女性は、1人の男が隠し持っていた銃を取り出すなり乱射し始めたのを目撃した。「男は銃を2回乱射してから、人々に向かってめちゃくちゃに撃ち始めた。まるで予言者みたいな歩き方だった」

■現実とは思えない光景

「妹は走って逃げだした。でも、どの方向に向かったのかは分からない。私は転んでしまったので、そのまま銃撃がやむまで床に伏せていた。まだ妹は見つからないし、あるのはこの身一つだけだ」と、この女性はAFPに語った。

 東京行きの便を待っていて事件に遭遇した日本人女性は、逃げ惑う人波にのみこまれたと話した。「銃声が聞こえて、誰もがみんなパニックになった」

 ラトビア人ビジネスマンは、ターミナルビル内にいた人たちは何が起こっているのか、まるで分からないまま恐慌状態に陥ったと証言した。「みんな走り回ったり、叫んだりしていた。何も分からなくて、最初はけんかか何かかと思った」

 そのうちに、爆発だ、銃撃だという声が上がり始めたという。「秩序も何もなかった」。それから数時間、状況を知る手立てはソーシャルメディアだけだったという。「私たちが隠れている場所からほんの200メートル先で何が起こっているのかを、地元の男性が見せてくれた携帯電話の動画で知った。現実とは思えない光景だった」と、このビジネスマンは語った。(c)AFP/Kadir Demir