【6月29日 AFP】英国の欧州連合(EU)離脱問題「ブレグジット(Brexit)」をめぐる国民投票で勝利した離脱派──。しかし、当のリーダーたちは、これまでに掲げた公約のいくつかを撤回し始めている。移民問題から英国民保健サービス(NHS)、EU離脱条項に当たるリスボン条約(Lisbon Treaty)第50条の発動まで、23日の歴史的な投票後に修正されたり、少なくともかなり実現が怪しくなったりしている公約5つをみる。

■英国民保健サービス

 離脱派の主要公約の一つは「EUが毎週持っていく私たちの3億5000万ポンド(約480億円)を英国民保健サービス(NHS)に使おう」という運動ポスターにも掲げられていた。

 しかし国民投票終了後、このスローガンは離脱派の運動「ボート・リーブ(Vote Leave)」陣営のウェブサイトからいつの間にか消えていた。代わって現れたのは「私たちは週3億5000万ポンドを節約できる。NHSや学校、住宅などの優先項目にそれを充てよう」という文言だ。

 離脱派の急先鋒の一人、英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)党首は「私の宣伝文句ではない。そんな主張をしたことは一度もない。ボート・リーブ運動のミスの一つだと思う」と語る。

 同じく離脱派のイアン・ダンカン・スミス(Iain Duncan Smith)前雇用・年金相は英国放送協会(BBC)に対し「私は投票の運動期間にそんなことは言っていない。われわれが言っていたのは、(EUに費やしている)多額の資金をNHSに回せるだろうということだ」と釈明。「何も確約などしていない。公約は可能性としての話だ」と述べた。

 この言葉にインターネット上では冷笑が起き、英風刺サイト「News Thump」は「イアン・ダンカン・スミス氏が夫人に語る:結婚の誓いは可能性としての話」との見出しを掲げた。