【6月28日 AFP】英国が国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めたことをきっかけに、EUの市民権を保持しようとアイルランドのパスポート(旅券)を申請する人が急増していることが27日分かった。当局者らが明らかにした。

 英郵便局の窓口機関でパスポートの申請も取り扱うポスト・オフィス(Post Office)の広報担当者は、正確な数や内訳は把握していないと断りつつ、アイルランドのパスポートの申請数が北アイルランドで異常な多さを記録していると述べた。

 在ロンドン(London)アイルランド大使館の報道官も「この数日、アイルランドのパスポート受給資格に関する問い合わせが増加している」と認めた。

 2005年1月1日以前にアイルランド島で生まれた人は誰でもアイルランド市民権を得られ、両親がアイルランド人の人も自動的にアイルランドのパスポートの申請資格が与えられる。

 EUの市民権を持っていれば、域内を自由に移動できるほか、加盟諸国で就労許可なしで職を探せる。さらに公共医療機関を利用したり、福祉をはじめさまざまな権利を享受したりもできる。

 ソーシャルメディアでもこの話題で持ち切りで、あるツイッター(Twitter)ユーザーは、北アイルランド(Northern Ireland)の首府ベルファスト(Belfast)の中央郵便局内に掲示された、パスポートの申請用紙が在庫切れになったと通知する張り紙の写真を投稿している。

 また、グーグル(Google)では英国の国民投票で離脱派勝利の結果が明らかになった直後から「アイルランドのパスポート」というキーワードの検索数が激増。「アイルランド パスポート 条件」のキーワードは過去1週間で800%、「アイルランドのパスポートの取得方法」も250%急増している。(c)AFP/Michael THURSTON