■「文化的な変化」は…

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)氏が10年前に首相に就任してからは政策的議論も活発となり、保育施設の増設や父親の育児休暇取得奨励策など、出生率の引き上げを目的に新政策が導入された。

 だが、文化的な変化は、これに後れを取っている。国内最大の発行部数を誇る日刊紙ビルト(Bild)紙は昨夏、「キャリアを追求してパンツスーツを着用し、スムージーを飲み、体を鍛える」女性を批判するコラムを掲載した。

 寄稿した男性コラムニストはさらに、「(このような女性たちは)まるで男のようだ。もはや母親ではない。自分の子どもが夜、雷におびえていても起きやしない」とも続けている。

 しかし、父親の関与を促そうという考えもさほど広がりをみせていない。シンクタンク「ドイツ経済研究所(DIW)」が最近発表した研究によると、家事に費やす時間では、フルタイムで働く女性でも1日3時間と、男性よりずっと多いという。

 他方で、この「母親論争」から距離を置くことを選択した女性もいる。彼女たちは、子どもを持たないという権利を擁護し、ドイツにおける親としての役割や就業機会に関して日常的に行われている論争には関わるまいとの態度を示している。(c)AFP/Coralie FEBVRE