【6月24日 AFP】米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)のシンクタンク、米韓研究所(US-Korea Institute)は24日、核武装を進める北朝鮮が実施した新たな中距離弾道ミサイルの発射実験について、2020年までに米本土を射程圏内とした大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に寄与する可能性があると警鐘を鳴らした。

 米韓研究所は北朝鮮が22日に行った「ムスダン(Musudan)」とみられる中距離弾道ミサイルの発射実験について「一部は成功した」と分析。推進装置は十分な性能を発揮し、誘導装置も「最低限は機能」したとみている。

 ムスダンの射程は2500~4000キロとされ、上限をとるとグアム(Guam)の米軍基地も圏内に入る。北朝鮮は4月以降、ムスダン発射を4回試みているが、いずれも失敗。22日に新たに2発の発射実験を行い1発目は失敗したとみられるが、2発目については最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が「大成功」とたたえ、太平洋にある米軍基地を直接狙えると述べたと報じられた。

 航空宇宙工学が専門のジョン・シリング(John Schilling)氏は米韓研究所のウェブサイト「38ノース(38 North)」上で、北朝鮮は発射実験が成功するまで短期間に連続して6発のムスダン発射を行っていることから、目的はプロパガンダとしての勝利にあったとの見方を示した。

 そのうえでシリング氏は、今回の発射がプロパガンダ目的で将来的にムスダンは廃棄されるとしても、発射が部分的に成功したことで、2020年代初めに北朝鮮が移動式大陸間弾道ミサイル「KN08」と「KN14」できる状態になっている可能性が高まると警告した。(c)AFP