【6月24日 AFP】欧州連合(EU)からの離脱か残留かを回答するには、ペンを使っても良いか、それとも伝統にのっとって鉛筆を使うべきか—―23日の英国民投票で、有権者の一部を巻き込んでこんな議論が巻き起こった。

 発端は、イングランド(England)のイースト・ノーサンプトンシャー(East Northamptonshire)地区議会がマイクロブログのツイッター(Twitter)に、「投票用紙には鉛筆を使用してください。(ペンを使うと)用紙を折りたたんだ際にインクがにじんで文字が不確かになり、無効票になる恐れがあります」と投稿したことだ。

 これに即座に反応したツイッターユーザーらは、「#usepens(ペンを使え)」「#pengate(ペンゲート事件)」のハッシュタグを付けて冗談と陰謀論を拡散。鉛筆だと投票用紙に書き入れた印を反対陣営のスパイが消して、ペンで違う回答を書き込んでしまうかもしれない、などとツイートした。

 テレビで人気の宇宙物理学教授、ブライアン・コックス(Brian Cox)氏も、「鉛筆で投票したよ。だって、英情報局保安部(MI5)が後で書き変える必要があるかもしれないだろう」と冗談を飛ばした。

 このインターネット上の騒動をきっかけに、他の地方自治体も「ペンを使っても構わない」と相次いでツイート。有権者がペンを持参するのは良いが、投票所スタッフにペンを要求しないでと強調する自治体も現れた。イースト・ノーサンプトンシャー地区議会もその後、「ペン使用もご自由に。ただし、用紙を折りたたんでもにじまないように気を付けて」と改めてツイッターに投稿した。

 英国では投票用紙への記入には伝統的に鉛筆が使用されているが、選挙管理委員会によると「有権者がペンを使うのを阻む決まりはなく、鉛筆を使うよう法律で定められているわけでもない」という。(c)AFP