【6月24日 AFP】昨年、家族と共にシリアから欧州に向かう途中に海難事故で死亡し、トルコの海岸に打ち上げられた遺体の写真が世界に衝撃を与えた3歳の男児を描いたドイツ・フランクフルト(Frankfurt)市にある壁画がペンキで汚され、落書きされた。警察が23日、明らかにした。

 警察の報道担当者がAFPに語ったところによると、海岸に横たわるアイラン・クルディ(Aylan Kurdi)君(当時3)を描いた横20メートル、縦6メートルの色彩画は銀色のペンキを塗られ、「国境は命を救うのだ!」と落書きされた。そのすぐわきに、左翼を批判する極右の粗野なスローガンも書かれた。

 壁画はオウズ・シェン(Oguz Sen)氏とユストゥス・ベッカー(Justus Becker)氏の両アーティストが公的な許可を得て今年3月にフランクフルト市のマイン川(Main River)沿いに描いたもの。

 警察は捜査を開始したことを明らかにした。報道によるとこの壁画は公開直後にも白いペンキをかけられたことがあった。

 支持者らはアーティストらが壁画を修復できるようにと、交流サイト(SNS)のフェイスブック(Facebook)で募金運動を始めた。

 中東やアフリカから欧州へ命がけの密航を試みる亡命希望者は後を絶たず、その途中に多くの子どもたちも海で死亡している。昨年9月に壁画の元になった男児の遺体写真が公開されると大きな衝撃が世界に広がり、移民危機の人的な犠牲の大きさに注目が集まった。(c)AFP