【6月24日 AFP】米連邦最高裁は23日、バラク・オバマ(Barack Obama)大統領が掲げてきた移民数百万人の強制送還を猶予する計画を阻止した。この難問は、大統領選の争点の一つとして持ち越される格好となった。

 米議会が移民制度改革に何度も失敗したことに業を煮やしたオバマ大統領は2014年11月、子どもが米国の合法居住者である不法移民に就労を認める大統領令を出した。これにより多数の不法移民家族が強制送還を免れるはずだったが、26州の共和党知事が大統領令の差し止めを求める訴訟を起こしていた。

 欠員が出ている最高裁判事の意見は4対4に分かれ、その結果、オバマ政権の計画実施を差し止めた下級審の判断が維持されることになった。

 オバマ氏はこの判決を「ここで生活している数百万人の移民の心を引き裂くものだ」と非難した一方で、反対派に対し、さらに長期間移民らの夢を壊し続けることはできないと警告した。

 オバマ氏は民主党のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏と共和党のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が対決するとみられる米大統領選本選にも言及し、「11月に米国民は、われわれは何を大切にしているのか、またわれわれは何者なのか、ということ関して決断を迫られることになる」と訴えた。

 最高裁判事は本来9人だが、今年2月に保守派のアントニン・スカリア(Antonin Scalia)判事が死去。オバマ大統領は後任に控訴裁で判事を務める中道派のメリック・ガーランド(Merrick Garland)判事を指名したが、上院がこの人事の審議を拒否してきた。

 論争の的となっているこの制度改革が実現すれば、不法移民400万人に米国での就労が認められるはずだった。しかし今回の判決により、オバマ氏の移民政策の先行きは、これら不法移民の運命同様、不透明となった。(c)AFP/Sébastien BLANC Jérôme CARTILLIER