【6月23日 AFP】中国当局は、国内複数の学校運動場の陸上トラック舗装材に有害な産業廃棄物が用いられていると報じられたことを受け、北部・河北(Hebei)省の滄州(Cangzhou)市にある工場9か所を閉鎖し、経営者らの身柄を拘束した。国営メディアが23日、報じた。

 中国では近年、各地の学校で舗装された運動場や陸上トラックから悪臭がするとの苦情が出ており、体調を崩す生徒も相次いで、たびたびニュースとなっている。今月には、北京(Beijing)の名門小学校の生徒らが陸上トラックを使った後に鼻血やアレルギーなどの症状を訴え、親たちが抗議する事態が起きていた。

 こうしたなか、国営の中国中央テレビ(CCTV)は今週、河北省の滄州市と保定(Baoding)市で操業する数十社が、陸上トラック用の舗装材に廃タイヤや電線などの産業廃棄物を再利用していると報道。これらの産廃材に有毒な化学物質や重金属が含まれているとみられると伝えた。

 河北省政府のポータルサイト「河北新聞網(hebnews.cn)」によると、これを受けて滄州市政府が公式調査チームを発足。当局によって9工場が閉鎖され、機械類には封印措置が施されたほか、製造中の舗装材や材料は没収され、「関係者」が身柄を拘束されたという。

 中国では経済的利益を追求する中で安全性基準がおろそかにされる事例が相次いでいる。4月には江蘇(Jiangsu)省常州(Changzhou)で、閉鎖された化学工場の近くに移転した中学校の生徒500人近くが健康被害を訴え、大きく報道されていた。(c)AFP