【6月23日 AFP】サッカー元アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)氏が決めた「神の手」ゴールからちょうど30年が経過した22日、当事者のマラドーナ氏と元イングランド代表GKのピーター・シルトン(Peter Shilton)氏が再び舌戦を繰り広げた。

 1986年の6月22日、メキシコW杯準々決勝のアルゼンチン対イングランド戦で、マラドーナ氏は2得点を記録し、アルゼンチンが2-1で勝利。この試合では永遠に語り継がれるであろう2つの出来事があった。マラドーナ氏の5人抜きドリブルからの追加点と、マラドーナ氏がシルトン氏の頭上に拳を伸ばしてボールを突き、ゴールへ押し込んだ先制点の場面だ。

 あれから30年の月日が経ったが、この試合は今もシルトン氏に苦い思いを味わわせている。何よりもつらいのは、「まるで正当なゴールであるかのように1得点目がたたえられていることだ」という。

 当時は世界最高峰の守護神に数えられ、現在は66歳となったシルトン氏は、アルゼンチンのスポーツ紙オーレ(Ole)に掲載されたコラムのなかで、「どうやって彼を許したらいいというんだ」と語っている。「彼は絶対に謝らない。私が対戦した中では最高の選手だが、ファンになるなんてあり得ない。握手もしたくない。『マラドーナ』と聞くと気分が悪くなる」

 さらにシルトン氏は、「世界中が『神の手』を話題にするが、われわれとしては、こちらがどんなに素晴らしいプレーを披露したとしても、結果は初めから決まっていたという印象を受けた」と話しており、詳しくは語らなかったものの、何らかの八百長があったと考えていることをうかがわせた。

 一方、非常に自尊心が強く、史上最高の選手と評されるほどの輝かしいキャリアを築きながらも、警察の厄介になるなどピッチ外での相次ぐ軽率な行動が名声に傷をつけてきたマラドーナ氏は、シルトン氏について「誰があんたと仲良くしたいというんだ。シルトン?偉大なゴールキーパーと飲みに行く?お断りだね」と一蹴している。

 マラドーナ氏は当時の試合後の記者会見で、先制点が決まった場面の出来事について「マラドーナの頭が少し、神の手が少し」と挑発的な持論を展開していた。そしてこの日、W杯史上最も物議を醸す場面について再び言及した小柄な英雄は、神がボールへ手を伸ばさせたとの見解を示し、自らの得点を「とてつもないゴール」と評価した。

「私の身長では、シルトンに頭で競り勝てる可能性はないんだよ」

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