【6月23日 AFP】リオデジャネイロ五輪開幕が近づくなか、国際陸上競技連盟(IAAF)が22日、伊ローマ(Rome)の大統領府で行われていた式典にまで踏み込んで抜き打ちの薬物検査を実施し、どこへ行こうとも検査から逃れることはできないという姿勢を示した。

 日刊紙スタンパ(La Stampa)などの報道によると、IAAFの担当者が現れたのは大統領府として使われているローマのクイリナーレ宮(Quirinal Palace)。検査の対象になったのはセルジオ・マッタレラ(Sergio Mattarella)大統領ではなく、女子競歩のエリザ・リガウド(Elisa Rigaudo)だった。

 宮殿では五輪旗を引き渡す式典が行われており、リガウドのほかにも数多くのイタリアのスポーツ選手が招待されていた。そこに招待されてもいないIAAFのドイツ人医師らが姿を見せ、リガウドに血液検査を受けるよう求めたという。

 困惑したリガウドは、スタンパ紙に対して「クイリナーレがイタリア国家の長がいらっしゃる場所だということを知らなかったのでしょう。検査を少し待ってもらい、五輪委員会の事務局でやらせてほしいと伝えました」と語った。

 リガウドはまた、自身のツイッター(Twitter)に「ドイツ人の検査官には、ここはクイリナーレだと説明してやったわ。彼にとってはアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相を表敬訪問するようなものだってね!」と投稿している。

 リガウドは、女子20キロ競歩での五輪参加を予定している。IAAFはすでに、ロシアの陸上選手の五輪出場を認めない決定を下している。(c)AFP