【6月21日 AFP】英国では23日、欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票が行われる。移民問題から国家主権のあり方まで、主な争点について残留派と離脱派のそれぞれの主張を以下にまとめる。

■移民問題

離脱派:英国は、ポイント制に基づく審査を通じて、EUからの移民数を制限できてしかるべきだ。移民の大量流入により、学校や病院・診療所をはじめとする公共サービスが圧迫されかねないという懸念に加え、社会保障を求める移民や、住宅不足といった心配もある。昨年の英国への移民の純増数は33万3000人で、過去最多だった2014年よりわずか3000人減っただけだった。EU域内からは同18万4000人で、昨年、最低12か月間英国に滞在した移民の数は27万人だったとしている。

残留派:EUからの移民を受け入れることで必要となってくるコストよりも、税収の方が上回る。移民は若く、公共サービスへ過度の負担になるケースは少ない。英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(UCL)が2013年に行った調査によると、EUからの移民に対する国の負担額よりも、納税額の方が34%も多いという。デービッド・キャメロン(David Cameron)首相は、もし英国がEUに残った場合、EUからの新たな移住者に対し最初の4年間は企業保障を限定的なものにするという取り決めを交わしている。

■経済

離脱派:EUを離脱すれば、EU予算への拠出が不要になる。英国の昨年の負担額は、85億ポンド(約1兆3000万円)近くと見込まれている。英国はEUと特別な取引関係を求めることができると同時に、中国やインドといった新興市場と取引契約を結べる可能性もある。

残留派:EUに残留すれば、国内での雇用や取引、投資がもたらされるより強い経済が期待できる。英国からの輸出の約45%がEU向けであり、英国内の雇用のうち300万人分は、欧州との取引に関係している。

■国家主権

離脱派:英国はEU法を順守する必要がなくなる。他の加盟国から、英政府の意向に反する決定事項を押し付けられることがなくなると同時に、EU司法裁判所(CJEU)にも従わなくてよい。

残留派:EUから離脱すれば、世界における英国の立場の弱体化につながりかねないのに加え、スコットランド(Scotland)独立の可能性も高まる。

 キャメロン首相は改革案の一環として、英国はEUが目指すさらなる結束の動きには縛られないことを容認させている。

■規制

離脱派:EUは英企業に対し、過度の事務手続きを課している。最も影響の大きい100項目の規制により、英経済は年間330億ポンド(約5兆円)以上の負担を強いられている。EUを離脱すれば、特に中小企業の負担が減り、各社がより自由に決定を下せるようになる。

残留派:EUを離脱すれば、市場は不確定要素によって悪影響を受け、企業が不利益を被る上、EUと新たな貿易協定を締結するのに何年もかかる恐れがある。一方、英国が欧州経済領域(EEA)への残留を希望すれば、単一市場の規制が適用されるため、EU市場で商品を販売する場合はEUの規定に従うことになる。(c)AFP