【6月21日 AFP】誰もが舌を巻く敏腕ハンターのカメレオンは、体色を変化させる擬態、全景を見渡せる目、多大な忍耐強さなど、驚くほど多彩な生物学的武器を頼りに獲物を捕らえる──。中でも最も特徴的なのは、あの電光石火の舌だ。

 カメレオンのむちのように動く舌の優れた能力については、長年にわたり広く研究が行われてきた。しかし、ある特定の能力だけはこれまで謎のままだった。それは、どのようにして、獲物をつかんだままの舌を素早く元の口の中に戻せるのかということだ。

 これまでに提唱された仕組みには、吸引や粘り気、カメレオンの舌の粗い表面と獲物の体表間の「面ファスナー作用」など、さまざまなものがあった。カメレオンは、自身の体重の3分の1までの重さの獲物を舌で捕らえることができる。

 ベルギーとフランスの研究チームが20日に発表した研究結果によると、謎の答えは、舌先にある粘着性の粘液だという。

 英科学誌「ネイチャー・フィジックス(Nature Physics)」に掲載された研究論文の共同執筆者で、ベルギー・モンス大学(University of Mons)のパスカル・ダンマン(Pascal Damman)氏は「この粘液は粘度が非常に高く(人の)唾液のほぼ1000倍に達することが分かり驚いた」と話す。 

 研究チームは今回、このように高い粘度を実現すると考えられる接着性(粘性)を算出するために数学を用いた。ダンマン氏はAFPの取材に、カメレオンの唾液の粘度を測定したのは今回が初めてだとしながら、「多くの従来説に反して、その粘着力の高さは、カメレオンがそれほど大型の獲物を引き寄せることを可能にするのに十分過ぎるほどだ」と指摘した。

「最も簡明な説明がベスト(である)」場合もあると、ダンマン氏はコメントしている。

「待ち伏せ型」の捕食動物として知られているカメレオンは、獲物を追跡して素早く捕らえる他の爬虫類動物とは異なり、獲物が射程内に入るまで、身を潜めたままでじっとしている。周囲に合わせてその体色を変化させることができ、また両目がそれぞれが独立して動くために360度近い視野を持つ。それは待ち伏せ中に頭部を動かす必要がないことを意味する。獲物が現れると、狙いを定めて、体長の倍の長さまで伸びる舌を放つ。