【6月18日 AFP】南米アルゼンチンで、多額の現金や宝飾類が入ったバッグ類を修道院に隠そうとして逮捕され、汚職容疑で訴追された元閣僚のホセ・ロペス(Jose Lopez)被告が16日、初めて裁判所に出廷したが大声でコカインを要求するなど異様な言動がみられたと地元メディアが伝えた。

 ネストル・キルチネル(Nestor Kirchner)氏とクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル(Cristina Fernandez de Kirchner)氏の2人の大統領のもとで12年間、副公共事業相を務めていたロペス被告は14日、ブエノスアイレス(Buenos Aires)郊外で、総額で現金約900万ドル(約9億4000万円)超などが入ったスーツケースやダッフルバッグ160個を壁越しに修道院の中へ投げ込んでいたところを現行犯逮捕された。

 被告は14日、ブエノスアイレス郊外で総額で現金900万ドル(約9億4000万円)超などが入ったスーツケースやダッフルバッグ160個を壁越しに修道院の中へ投げ込んでいたところを現行犯逮捕された。

 現場に居合わせた修道女によると、ロペス被告はほとんど正気には見えず「あいつらは俺を刑務所に入れるつもりだ...俺があんたたちを助けるために金を盗んだからだ」などと口走っていたという。

 ロペス被告の弁護士は15日、被告は精神錯乱状態にあり幻覚を起こしていると説明したが、被告を診断した医師団は、ストレスと高血圧以外には何も問題はないとの判断を示した。

 しかし地元紙ナシオン(La Nacion)などが裁判所関係者の話として伝えたところによると、16日に初めて出廷した被告は不安そうな面持ちで、自分の頭を叩いたり、コカインを要求してわめいたりしたという。また心神耗弱状態にあるようで、自分の生年月日も言うことができなかった。

 弁護側は、被告が供述できる精神状態にないと主張。結局、ロペス被告は一切の供述を拒否した。(c)AFP