【6月18日 AFP】ローマ法王庁(バチカン)は16日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王が新に9人のシリア人難民をローマ(Rome)に迎え入れたと発表した。

 今回受け入れられたシリア人難民は、トルコから危険な航海を経てギリシャのレスボス(Lesbos)島に渡り、同島の収容所内で生活していたという。

 バチカンの報道官は、「2度目の受け入れとなる難民9人が15日にローマに到着した」と述べ、「難民のうち6人は大人で3人は子どもだ。全員がシリア国民で、(レスボス島の)カラテペ(Kara Tepe)難民収容所で暮らしていた」と付け加えた。今回受け入れられたシリア人難民は、移送についての合意をギリシャとイタリアの両国政府から速やかに取り付けられるよう書類が整っていたため選ばれたという。

 フランシスコ法王は今年4月に訪問先のギリシャからシリア人の移民3家族を航空機に同乗させて帰国していた。この際「キリスト教徒とイスラム教徒の間で選択をしたわけではない。すべての難民は神の子である」と批判を一蹴していた。3家族はその後ローマに定住してイタリア語を習い始めた。

 2015年初頭から現在までトルコから海を越えてギリシャへ渡った難民・移民は110万人を超えた。ギリシャへ向かう人々の多くは母国の内戦を逃れてきたシリア人難民で、多くの人が途中で命を落とした。

 トルコが多額の資金支援などと引き換えに、欧州連合(EU)で難民申請を却下された人々を受け入れることに同意して以降、ギリシャに渡航する難民は激減しているが、人権団体はこの取り決めを批判している。

 フランシス法王は以前、難民に対して無関心な欧米社会を非難し、欧州への渡航を試みる移民の問題を、ローマ法王在任中の重要課題の一つとしている。(c)AFP