【6月18日 AFP】男子テニス、世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)のコーチを務めるボリス・ベッカー(Boris Becker)氏は、アンディ・マレー(Andy Murray、英国)がイワン・レンドル(Ivan Lendl)氏と再びタッグを組んだことを知り、驚いたと認めている。

 世界ランク2位のマレーは今週、英ロンドン(London)に飛び、レンドル氏と2年ぶりに2度目の師弟関係をスタートさせた。レンドル氏との前回のタッグで、マレーはウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)と全米オープン(US Open Tennis Championships 2012)を制し、ロンドン五輪でも金メダルを獲得。2人が再び手を組んだことで、今回もその黄金期に匹敵する成績が期待されている。

 現在エイゴン選手権(AEGON Championships 2016)に出場しているマレーは、レンドル氏の下を離れて以来、ジョコビッチと15回対戦して13敗を喫しており、今年の全豪オープン (Australian Open Tennis Tournament 2016)と全仏オープン(French Open 2016)でも決勝で敗れている。

 しかし、元ウィンブルドン王者のベッカー氏は、マレーのコーチ陣には堅実な仕事をこなしているジェイミー・デルガド(Jamie Delgado)氏がいるため、同選手がレンドル氏と再び手を結ぶとは予想していなかったと強調。英国放送協会(BBC)の取材にも、「少し驚いたと言わざるをえない。(ジェイミー・)デルガドは良い仕事をしており、アンディはクレーコートで、これまでにないほど良いプレーをみせている」とコメントした。

 一方、ベッカー氏と師弟関係を結んでいるジョコビッチは、トップ選手の一人からテニス界の絶対王者にまで成長。今月初めには、全仏オープンで初優勝を果たして生涯グランドスラムを達成し、直近のメジャー全タイトルも保持している。

 ドイツを代表する選手だったベッカー氏や、レンドル氏が指導者として成功を収めていることを受け、往年の名選手が現役選手のアドバイザーとしてテニス界に復帰するケースが増えている。

 最近では、米国を代表する名選手のジョン・マッケンロー(John McEnroe)氏がミロス・ラオニッチ(Milos Raonic、カナダ)のコーチに就任したほか、元ウィンブルドン選手権覇者のリカルト・クライチェク(Richard Krajicek)氏も、芝コートシーズンに向けてスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)のコーチ陣に招へいされたばかり。また、マイケル・チャン(Michael Chang)氏も現在、錦織圭(Kei Nishikori)を指導している。

 ベッカー氏は、「イワンやジョンのようなスターが戻ったことは、テニス界にとって素晴らしいことだし、良いクオリティーが保てる。何よりもテニスへの理解度が深まることになり、全員の利益につながるだろう」と歓迎した。(c)AFP