【6月23日 AFP】高い秩序と清潔さに価値が見いだされる日本では、単なる愚かな損壊行為と見なされてきたグラフィティアートの文化──。そういった背景があるためか、東京の街には「尖った」ストリートアートをあまり見ることがない。しかし、世界の主要都市に目を向けると、バンクシー(Banksy)やJR、キース・へリング(Keith Haring)といったさまざまなクリエーターたちがストリートアートの文脈で注目を集めてきた。

 協調性を重んじるこの日本社会においても、一部のアーティストたちはストリートアートの魅力を伝えようと、アートを愛する人々の心に訴えるべくその活動を続けている。

 ストリートアーティストの「BAKIBAKI」こと山尾光平(Kohei Yamao)さんは、「アジアであれヨーロッパであれアメリカであれ、ストリートアートという分野において日本が世界一遅れている。これはアーティストのレベルが低いとかでの問題ではなく、描ける町の環境がすごく少ないということ」と、この国の現状について持論を述べる。

 日本のストリートアートの問題は、文化的なのほかにも、法的な問題もある。この国では、グラフィティやいたずら書きで罪に問われた場合、建造物等損壊の罪で、5年以下の懲役に処せられる。

 そういった環境がある中で、日本のアーティストたちは活動を続ける方法を模索する。バーやクラブ、街中で音楽をかけながら、人々の前で作品を制作する「ライブ・ペインティング」も、そうした活動のひとつだ。

 自らのスタイルについて「メカニックな模様だったのが、描いていくうちに、だんだんオーガニックな有機的な植物とか模様に近づいてきて、日本古来の麻の葉模様というか、ヘンプの模様と近いということに気付いた」と話すBAKIBAKI。「答えを求めるんじゃなくて、模様をみて何に見えるとか、見ている人が想像力を持ってこの模様を感じてもらえたら、それが自分にとってもうれしいことだ」とAFPの取材に語った。