【6月16日 AFP】米フロリダ(Florida)州オーランド(Orlando)の同性愛者向けナイトクラブで12日に銃乱射事件が起きて以来、容疑者の地元である同州フォートピアス(Fort Pierce)では、イスラム教徒らが憎悪に満ちた侮辱発言や嫌がらせの標的となっている。

「ゲス野郎ども!」。フォートピアス・イスラム教センター(Fort Pierce Islamic Center)の前を通り過ぎるピックアップトラックから浴びせられた罵声だ。

 同センターを訪れる信者らに対し、通り過ぎる車はクラクションを鳴らし、その車に乗っている人たちはイスラム教や預言者ムハンマド(Mohammed)を中傷する口汚い言葉を吐き捨てる。

 フォートピアス唯一のこのモスクは高速道路沿いにあり、自動車販売店の裏にあるごく目立たない建物だ。12日の事件までその存在を知らなかった人たちも、今では気付かざるを得なくなっている。

 報道関係者やテレビの取材班が1日何時間も建物を取り囲み、イスラム教センターへの関心を集めているからだ。オマル・マティーン(Omar Mateen)容疑者(29)はつい最近の10日に、ここを訪れている。

「私たちはおびえている」と、50代の寡黙なパキスタン人、ベダール・バクト(Bedar Bakht)さんは、イスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」中の日没後の食事「イフタール(Iftar)」の用意をしながら語った。

 多くの人はいつも通り、真夜中近くの祝いの時間まで残っているが、帰宅する際には用心して集団で建物を出るという。「2、3週間もすれば、日常に戻るだろう。だが今はまだ、事件が起きた直後だ。人々は電話をかけてきて、くだらないメッセージを残していく」