【6月14日 AFP】米フロリダ(Florida)州オーランド(Orlando)の同性愛者向けナイトクラブで起きた銃乱射事件では、友人やパートナーを失い悲しみに暮れる男性同性愛者たちが、生死の瀬戸際にいる被害者らを救うための献血を希望しているが、エイズウイルス(HIV)の感染防止を目的とした連邦法にその思いを阻まれ、怒りを募らせている。

 フロリダを含む南部州の血液バンクネットワーク「ワンブラッド(OneBlood)」によると、米食品医薬品局(FDA)は1977年から、男性と性交渉を持った男性の献血を生涯禁止する措置を取っていたが、最近になってその規制を緩和。だが男性同性愛者は現在も、最後の性交渉から1年が経過していない限り献血が認められていない。

 男性同性愛者たちは、49人が死亡、53人が負傷したこの事件後、負傷者のために献血しようと大勢の人々が暑さの中で血液センターの外に何時間も並んでいるのを見て安どしたと語る一方で、自分たちが何もできずにいることにいら立ちを感じている。

「私は既婚者。同性愛者で、夫との性生活はもちろんある。でも献血をする資格はないんです」。オーランドの主要LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)コミュニティーセンター「ザ・センター(The Center)」の幹部で資金調達責任者のロブ・ドメニコ(Rob Domenico)さんはこう語る。「仲間を救うため、私が最も必要とされているときに、何もできない。本当に悔しいです」

 一方でドメニコさんは、大勢の異性愛者が献血に訪れていることがうれしいという。ワンブラッドによると、通常は1日に1000人の献血者が集まるが、12日だけで3500人が献血に訪れた。

 自身は異性愛者だが、事件が起きたナイトクラブ「パルス(Pulse)」には同性愛者の友人たちがよく通っていたという写真家のハーブ・ボイルズ(Herb Voyles)さん(40)は、FDAの規定はばかげていると主張。HIV感染の有無は血液検査で調べることができるのに、男性同性愛者の献血を禁止するべきではないと語った。(c)AFP/Daniel WOOLLS