【6月12日 AFP】セルビアの首都ベオグラード(Belgrade)で11日、文化地区や歓楽街で知られるエリアの再開発に抗議するデモが行われ、数千人が参加した。アラブ首長国連邦(UAE)の資本を導入して一帯を高級な商業・住宅街として再生させる計画だが、進め方が強引で透明性に欠けるとして一部の地元住民らから強い反発を招いている。

 問題となっているのはサバ(Sava)川沿いのサバマラ(Savamala)地区の再開発事業。アレクサンダル・ブチッチ(Aleksandar Vucic)首相が2014年にぶち上げたもので、30億ドル(約3200億円)を投じてショッピングモールやオフィス、アパートが入る2平方キロメートル近くのエリアに生まれ変わらせることが計画されている。

 UAEのアブダビ(Abu Dhabi)に拠点を置く不動産開発業者、イーグル・ヒルズ(Eagle Hills)と契約が交わされ、ドバイ(Dubai)風の高さ200メートルのタワービルが中核に位置付けられている。

 しかし、計画をめぐっては荒廃した地区を再生できるとの声がある一方、反対派は住民らとの協議が行われないなど透明性に欠けるうえ、大半の国民にとってほとんど恩恵がないと批判。4月にはサバマラ地区の複数の建物が夜間に謎の覆面集団によって取り壊される事件もあり、今回のデモでは特にこの事件がやり玉に挙げられた。

 デモ隊は「私たちを無視するな」「盗っ人」などとシュプレヒコールをあげた。参加者は主催者発表で1万5000人。警察発表では4000人だが、記者らの話では少なくともその倍が集まっていた。

 暴力沙汰などは起きなかった。(c)AFP