【6月9日 AFP】欧州に移民数千人を送り、相当数を水死させた移民密航ネットワークの首謀者とされるエリトリア人の男がスーダンの首都ハルツーム(Khartoum)で逮捕され、イタリアへ引き渡された。警察当局が8日、発表した。密航組織のトップがアフリカで逮捕され、裁判のためにイタリアに引き渡されたのは今回が初めて。

 逮捕されたのは、2015年から指名手配されていたメダニエ・イェデゴ・メレド(Medhanie Yehdego Mered)容疑者(35)。先月末にハルツームで逮捕され、今月6日夜に飛行機でイタリアに移送された。

 スーダンの内務省は、在スーダンの英国、イタリアそれぞれの大使館との共同声明で、容疑者は「4大密航組織うちの1組織の首謀者」と述べた。広域にわたる多数の「部隊」を支配し「将軍」と称される同容疑者は、年間で最大8000人を移民船で密航させたとみられている。

 捜査官らによると、同容疑者の組織は、2013年にイタリアのランペドゥーザ(Lampedusa)島沖で船が沈没し移民少なくとも360人が死亡した、地中海(Mediterranean Sea)での最悪級の移民船沈没事故の主犯とされている。

 フランチェスコ・ロボイ(Francesco Lo Voi)検察官は記者会見で、同容疑者の逮捕は「密航取り締まりにおける重要な転機」だと述べ、アンジェリーノ・アルファノ(Angelino Alfano)伊内相は「死の商人」阻止を目指す上での快挙だとたたえた。

 メレド容疑者はアフリカで密航を組織していたばかりでなく、イタリアに仲間を待機させて船の到着時に移民を引き取り、欧州の最終目的地へ移動を続けるための金を搾り取っていたとされる。

 スーダン警察のトップが匿名を条件にAFPに語ったところによると、同容疑者はエチオピアやエリトリア、ソマリア、スーダンの若者らをスーダン、リビア、エジプト経由で地中海を渡らせる密航を組織した罪に問われているという。(c)AFP/Ella IDE