【6月5日 AFP】大雨で増水し、過去30年で最も高い水位に達した仏パリ(Paris)市内のセーヌ(Seine)川は4日、水位が下がり始めた。川岸に近いルーブル美術館(Louvre Museum)などは、所蔵する美術品を浸水から保護するための対策に追われた。

 仏環境省の洪水監視サイト「ビジクル(Vigicrues)」によると、セーヌ川の水位は4日未明に6.10メートルのピークに達し、同日午後5時(日本時間5日午前0時)には5.99メートルに下がった。これまでの最高記録は1910年に観測された8.62メートル。ビジクルのブルノ・ジャネット(Bruno Janet)モデリング部長は「状況は沈静化の局面に入っている」と語った。

 セーヌ川を挟む形で立っているルーブル美術館とオルセー美術館(Orsay Museum)は3日、浸水対策として地下室から地上の高い場所に美術品を移動させる作業を行うため臨時休館し、4日も引き続き休館とした。

 今回欧州各地で発生した水害では、これまでに18人が死亡。AFPが政府発表や報道を基にまとめたところによると、ドイツ南部のバイエルン(Bavaria)州とバーデン・ビュルテンベルク(Baden-Wuerttemberg)州で11人、フランスで4人、ルーマニアで2人、ベルギーで1人が死亡した。住民が自宅で身動きがとれなくなったり、木が倒れ電線が切れたり、道路や鉄道が寸断されたりといった影響が出ており、救助隊は冠水した道路を救命ボートで進むことを余儀なくされている。

 パリでセーヌ川の水位が徐々に低下しつつある半面、警戒が必要な地域はフランス北東部や北部の港湾都市ルアーブル(Le Havre)に移ってきている。仏北東部では暴風雨の影響で河川の堤防が決壊する恐れがあり、ルアーブルはセーヌ川が海に注ぐ河口に位置している。(c)AFP/Marie GIFFARD