【6月5日 AFP】3日に死去したボクシング界の伝説、モハメド・アリ(Muhammad Ali)氏のベストバウトには、リング上の戦いだけでなく、30年以上も続いたパーキンソン病との闘いも含まれている。プロボクサーとして通算61試合を戦ったアリ氏は、引退から3年後の1984年に42歳でパーキンソン病と診断された。

 多くの専門家は、アリ氏がパーキンソン病を患ったのは偶然ではなく、ボクサーとしての年月による悲劇的な結末とみている。当時の専門家は、現役時代に何度も脳振とうを経験したスポーツ選手にみられる脳の損傷を「パンチドランカー」、「パンチドランク症候群」と表現した。

 仏コンタクトスポーツ(体をぶつけ合う競技)連盟の関係者は、ボクシングとパーキンソン病の関連について、「断定的なことは言えないが、極めて強い疑いがある」との見解を示し、「現段階では打撃を繰り返し受けると、特に休むことなく動いている脳においては、神経細胞が変質することが判明している」と語った。

 一方、仏パリ(Paris)にあるレオポール・ベラン病院(Leopold Bellan Hospital)に務める神経科医のジャンフランソワ・シェルマン(Jean-François Chermann)氏は、ボクシングとパーキンソン病には絶対的な関連があると主張している。

 シェルマン氏は2010年にノックアウトについて書いた著書の中で、「アリ氏は練習終了後、自分の強さを誇示するためにガードを下げ、スパーリングのパートナーに対して頭部をめがけてパンチを打つよう指示していた」としており、「彼の病気とそのような練習には関連がある」と結論づけている。