【6月5日 AFP】イスラエル中部の都市テルアビブ(Tel Aviv)で3日、毎年恒例の「ゲイ・プライド・パレード(Gay Pride parade)」が開催され、大勢の人々が参加した。同市が資金提供し、PRしているこのパレードは世界的な注目を集めている。

 しかし、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の活動家らは、イスラエルがパレードのために気前よく金を使っているのは、パレスチナ自治区を占領したことによって傷ついたリベラルなイメージの回復を図るイスラエル政府の取り組みの一環だと主張している。

 かつては、イスラエル政府が性的に寛容な姿勢を打ち出しているのはいわゆる「ピンクウォッシング」と呼ばれるイメージ戦略であり、煙幕にすぎないと非難するのはパレスチナ寄りの活動家たちだけだった。

 しかし、パレード開催の1か月前に、イスラエル観光省がこのイベントを欧州の旅行客に宣伝するために1100万シェケル(約3億円)拠出するという発表を受け、LGBTの活動家らからは今年のパレードをボイコットすることも辞さないという声が上がった。

 この金額は、イスラエル政府がLGBT団体に拠出している年間の助成金総額の10倍に相当する。

 イスラエル最大のLGBTの非政府組織(NGO)「Aguda」代表は、「まるで一瞬にして皆の目が覚めたようだった。大金を使って観光客いっぱいの飛行機にレインボーを描くなんてばかばかしい。やっとこの政府と首相の偽善に気づいたんだ。外国に行ってはイスラエルのゲイの人々の自由について英語で自慢するのに、国に帰ってきてからヘブライ語でその話をすることは一切無い」と一蹴した。

 活動家らから今年のパレードの中止を求める声が上がるなか、財務省はゲイ・トランスジェンダーの団体に対し、イベントの広報にかかる費用と同じ1100万シェケルの助成金を今後3年間で拠出することに不本意ながら同意し、パレード中止は回避された。(c)AFP/Daphne Rousseau