【6月1日 AFP】アフガニスタン北部クンドゥズ(Kunduz)州で5月31日、旧支配勢力タリバン(Taliban)が計約200人を乗せて首都カブール(Kabul)に向かっていた4台のバスを襲撃し、少なくとも16人を殺害、30人以上を拉致した。クンドゥズ州知事の報道官が明らかにした。

 タリバンは、クンドゥズ州アリアバード(Aliabad)を走行中のバスに乗っていた治安当局者らを標的にしていたと主張している。当局者らによると、武装したタリバン戦闘員らがバスを待ち伏せして襲撃した。死者の中には道路脇で至近距離から撃たれた人もいたという。

 一方地元の警察署長は死者数を17人と発表。バスに乗っていた人々の身元については明言しなかったものの、「(タリバンは)乗っていた一部の乗客を解放したが、まだ多数を拉致している。乗客に軍服を着用していた人はいなかったが、一部は元警官だった可能性がある」としている。

 タリバンによる攻撃が多発しているアリアバードの住民らによると、タリバンは地元のモスク(礼拝所)に非公式の法廷を設け、拉致した乗客の身分証明書を調べたり、政府とのつながりがないか尋問したりしているという。 

 タリバン報道官はAFPに対し、「乗客のうち26人が軍の特殊部隊と警察の所属だったという情報を入手していた」と主張した。うち逃亡を図った6人を殺害したとしている。

 襲撃の標的になりやすい地域を通るアフガニスタン周辺の幹線道路は極めて危険で、タリバンなどの武装組織による旅行者の拉致や殺害が後を絶たない。

 タリバンは毎年4月になると欧米の支援を受けたアフガニスタン政府に対する春の攻勢を開始し、一般市民が巻き込まれるケースが増える。(c)AFP/Gul Rahim