【5月31日 AFP】オーストラリア北東部クイーンズランド(Queensland)州で遊泳中の女性がワニに襲われて行方不明になった問題を受けて、同国の議員から「ワニ狩り」の必要性を訴える声が上がっている。豪北部では保護政策によってワニが激増する中、毎年のように犠牲者が出ており、議員は人為的に生息数を抑制すべきだと主張している。

 同州最北部に位置するソーントンビーチ(Thornton Beach)では29日夜、浅瀬で泳いでいた40代の女性2人がワニに襲われた。1人が自分の脚を何かがかすめたと思っていると、もう1人の女性が「ワニにやられた!」と叫びながら海へと引きずり込まれていったという。大規模な捜索が行われているが、女性はまだ見つかっていない。

 こうした中、歯に衣着せぬ物言いで知られるボブ・カッター(Bob Katter)連邦下院議員(独立系)はフェイスブック(Facebook)で、1970年代以来ワニが保護されてきたクイーンズランド州ではワニの生息数が「爆発的に増えている」と主張。かねて同州最北部ファーノース・クイーンズランド(Far North Queensland)に生息するワニの間引きを求めてきたと説明した上で、「クロコダイル狩りは一つの解決策になるはずだ」と訴えた。

 カッター氏は「自然にはバランスというものがあるが、そのバランスが完全に崩れてしまっている。ワニ狩りをすればバランスを取り戻せる」との持論を展開した。

 オーストラリアでは大型のワニ「イリエワニ」が1971年に保護種に指定され、以後、北部でその姿を目にするのは珍しくなくなってきた。毎年、平均2人がこのワニに襲われて命を落としている。(c)AFP