【5月28日 AFP】全仏オープンテニス(French Open 2016)では27日、9度の大会制覇を誇るラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が、左手首の負傷のため3回戦を棄権し、大会を揺るがせた。

 同日には、第2シードのアンディ・マレー(Andy Murray、英国)、第3シードのスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)、第5シードの錦織圭(Kei Nishikori)の上位選手が、順当にベスト16進出を決めていた。

 ここまで痛み止めを打ちながらプレーしていたという29歳のナダルは、MRI検査で腱(けん)の状態悪化が判明したと発表。四大大会(グランドスラム)通算14勝の第4シードとして参戦していたナダルは、「現段階で骨折はしていないが、このままプレーを続ければ、数日のうちに100%骨が折れてしまうだろう」と悔しさをにじませた。

「優勝するには、あと5試合を戦わなければならない。医師から、それは100%不可能だと言われた」

 キャリアを通じて膝や手首の故障に悩まされてきたナダルはまた、「とても悪い状況だが、これが人生というものだ」とすると、「全仏でなければ、最初の2試合を戦うリスクは絶対に取らなかった。でも、自分にとってシーズンで最も重要な大会だから、全力を尽くしたんだ」とコメントした。

 この逆境の中でも、次の大会に向けてプレーを続行するとしているナダルだが、来月開催されるウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2016)の出場にも暗雲が垂れ込めている。

 2005年、19歳にして全仏で初優勝したナダルは、「厳しい状況だが、これで終わるわけではない」と前向きな姿勢をみせている。

 ナダルの棄権により、マルセル・グラノリェルス(Marcel Granollers、スペイン)が不戦勝で16強入りを果たした。

 一方、順当に勝ち進めば準決勝でナダルと対戦するはずだった世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)にとっても、このニュースは全仏初制覇に向けて大きな追い風となっている。

 準決勝が行われる予定だった来月3日は、くしくもナダルの30歳の誕生日だった。(c)AFP/Dave JAMES