【5月27日 AFP】アフガニスタンの旧支配勢力タリバン(Taliban)が新たな指導者を発表した際、平凡ながら非常に鮮明な顔写真が公開されたことを受け、その思惑をめぐって憶測が飛び交っている。

 ハイバトゥラ・アクンザダ(Haibatullah Akhundzada)師の顔写真は25日、タリバンが新指導者として発表した直後にソーシャルメディア上で非公式に拡散され、イスラム武装勢力の監視を続ける専門家らを驚かせた。タリバン創設者で2年前に死亡したオマル師(Mullah Omar)や、その後継者アクタル・マンスール(Akhtar Mansour)師については、不鮮明な画像しか公開されていない。

 それでは、なぜ、パキスタンで米軍が行った無人機攻撃でマンスール師が殺害されたわずか数日後に、白髪交じりの顎ひげを生やしたアクンザダ師の高解像度画像がネット上で広まったのだろうか。そして、背後にいる人物は誰なのか。

 これらの疑問点をめぐり、ソーシャルメディア上では世界中の人々がさまざまな憶測を交わしている。ツイッター(Twitter)には、こんな投稿があった。「もし君がタリバンだったら、指導者(の写真)がばらまかれて無人機に狙われやすくなる状況を望むだろうか?」

■「誰がやったか分からない」とタリバン報道官

 タリバンの広報チームの1人は、公開された写真について、12年以上前にアクンザダ師がイスラム教の大巡礼「ハッジ(Hajj)」でサウジアラビアを訪問した際に撮影されたものだと指摘し、「現在は高齢となり、ひげも白くなった。だが、警備上の理由で近影は公開できない」とAFPに語った。

 一方、タリバンのザビフラ・ムジャヒド(Zabihullah Mujahid)報道官はAFPの取材に、アクンザダ師の写真を公開するつもりはなかったが、ネット上で話題となり本人だと認めざるを得なかったと説明。「誰がやったかは分からない」と述べた。

 タリバンに関する専門家のラヒムラ・ユサフザイ(Rahimullah Yousafzai)氏は、写真を公開したのはタリバンではなく、タリバンの主張に同調する何者かの可能性があると指摘する。

 一方、画像が鮮明なことから、背後に情報機関の存在があるとの見方もある。カブール(Kabul)に駐在する西側当局者の1人はAFPに対し、「明瞭な顔写真だ。まるで、治安当局の資料から持ってきたようだ」と語った。(c)AFP