【5月27日 AFP】リビア沖の地中海(Mediterranean Sea)で起きた2件の移民船転覆事故により、合わせて100人以上が死亡した恐れがあることが26日、明らかになった。最初の転覆事故では、劇的な救出の様子や、海に投げ出され必死に泳ぐ人々が動画に収められていた。

 国際移住機関(IOM)のイタリア駐在報道官がAFPに対し語ったところによると、25日に起きた転覆事故の生存者らは、リビアを出港した際に約650人が船に乗っていたと証言。うち100人が船に取り残され、行方が分からなくなっていると語ったという。イタリア当局は当初、死亡が確認された人の数を5人としていた。

 イタリア海軍はこの日、海から約560人の救出に成功。しかし今回の転覆事故がここ数か月で最悪規模の惨事となる可能性が出てきた。

 海軍は船が転覆した時の様子を動画で撮影。そこには、船体が大きく傾いて転覆し、乗っていた人々が海に投げ出される様子が映っていた。数秒後には、必死に泳ぐ移民らによって水しぶきが上がった。海軍の隊員らは、海に飛び込んだり、移民らの髪をつかんで引っ張ったりして救助活動に当たった。

 また、欧州連合(EU)海軍によると、翌26日にも別の船が転覆し、最大で30人の移民が死亡した恐れが出ている。

 地中海で密航船の取り締まりを行っているEU軍事作戦の報道官がAFPに明かしたところによると、ルクセンブルクの哨戒機が、リビア沖約65キロの海上で転覆した船を発見。移民約100人が、海に投げ出されたり沈みつつある船にしがみついたりしていたといい、スペインやイタリアの艦船が現場に急行し、海に救命胴衣や浮き輪を投げ入れて救助活動に当たった。(c)AFP/by Ella IDE with John HADOULIS in Athens