【5月25日 AFP】シリアのクルド人民兵組織とアラブ系反政府勢力の合同部隊「シリア民主軍(SDF)」は24日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が事実上の首都を置くシリア北部ラッカ(Raqa)県で、ISに対する大規模な攻勢を開始した。

 一方イラク軍も今週、ISが支配する同国中部ファルージャ(Fallujah)の奪還作戦を開始しており、ISの拠点2か所に対し同時に圧力がかけられている形だ。両攻勢は、ISが2014年、シリアとイラクの国境をまたいだ「カリフ制国家」の樹立を宣言して以来、最大級の対IS地上作戦となる。

 SDFは24日、ラッカ市の北にあるIS支配地域に対し、過去最大規模の攻勢を開始すると発表。ツイッター(Twitter)に出した声明によると、この攻撃でラッカ県北部からISに攻勢をかけ、その他の地域の奪還を目指すとしている。

 イラク駐留米軍のスティーブ・ウォーレン(Steve Warren)報道官もラッカに対する攻勢の開始を認め、数千人規模のSDF部隊を空爆で支援していくと表明した。SDF戦闘員らの一部は、米軍による訓練と武器提供を受けている。

 同報道官は、もしラッカが陥落すれば、「(ISが主張する)カリフ制国家の終わりの始まりになる」と話した。一方、SDF報道官は、ラッカ市への攻勢は「今のところ計画していない」と話している。ロシアは、SDFの発表に先立ち、ラッカへの攻撃で米国とSDFと連携していく用意があると表明していた。

 ISはここ数か月間、支配地域を徐々に失ってきているものの、攻撃の手は緩めておらず、23日にはシリア政権側が掌握する地中海(Mediterranean Sea)沿岸の2都市で連続爆弾攻撃を実行し、177人が死亡した。在英の非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、この連続攻撃は5年におよぶシリア内戦の中で政権支配域で起きたものとしては「最も多くの死者を出す爆弾攻撃」となった。(c)AFP/Rana Moussaoui with Ahmad al-Rubaye near Fallujah