【5月23日 AFP】ナイジェリア軍が先週、北東部チボク(Chibok)地区の学校から2年前にイスラム過激派組織ボコ・ハラム(Boko Haram)に集団拉致された女子生徒219人のうち2人を新たに救出したと発表した件で、2人目の少女が別の事件の被害者である可能性が浮上している。

 この少女、セラ・ルカ(Serah Luka)さんは、北東部ボルノ(Borno)州ダンボア(Damboa)地区で19日朝、軍と自警団による合同作戦で救出された女性と子ども97人のうちの1人。軍はルカさんについて、2014年4月14日にチボクの学校からボコ・ハラムに拉致された女子生徒と特定されたと発表し、今月17日に救出したアミナ・アリ(Amina Ali)さんに次ぐ2人目の救出例だとしていた。

 しかし、拉致された少女たちの救出支援団体「少女たちを取り戻せ(BringBackOurGirls)」は20日、独自の身元調査の結果、ルカさんは同じ学校の生徒だが、集団拉致された生徒たちとは学年が違ったと発表。ルカさんが拉致されたのは、隣接するアダマワ(Adamawa)州マダガリ(Madagali)の自宅からだったと説明した。集団拉致された生徒たちは全員、ルカさんより2つ上の学年だったという。

 一方、被害生徒の家族会「チボク拉致少女たちの親の会(Chibok Abducted Girls Parents)」の会長は、ルカさんに関しては1人目のアリさんと異なり、軍から身元照会はなかったと説明。拉致被害生徒の名簿には「ルカ」という姓の少女が2人いるが、2人ともマダガリ出身ではないとAFPの取材に語った。

「親の会」会長はまた、ナイジェリア軍がルカさんについて「キリスト教牧師の娘」だと発表している点についても、被害生徒の中で父親が牧師の4人はいずれもルカ姓ではないと指摘。「私の責任の範囲において、この少女(ルカさん)はチボクで集団拉致された女子生徒ではないと言える」と述べた。

 これらの指摘に対しナイジェリア軍の高官筋は、ルカさんが集団拉致の被害者であることには「疑いの余地がない」と主張している。(c)AFP/Ola AWONIYI、Aminu ABUBAKAR