【5月23日 AFP】(写真追加)フランス・カンヌ(Cannes)で開催されていた第69回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)で22日、英国のケン・ローチ(Ken Loach)監督(80)が手がけた『I, Daniel Blake』が、コンペティション部門最高賞のパルムドール(Palme d'Or)に選ばれた。作品は欧州での財政緊縮による貧困をテーマに描かれた。同監督作品がパルムドールに選ばれるのは2度目。

 受賞スピーチでローチ監督は、域内で広くみられる社会保障費削減を厳しく非難し、「われわれがとらわれている緊縮計画は、新自由主義という思想に駆られたもので、私たちをほぼ破壊的な状況に陥れている」と述べた。そして「それが数十億の人々を深刻な困窮へと導き、東はギリシャから西はスペインまで数百万人を苦しめ…その一方でほんの少数に巨万の富をもたらしている」 と訴えた。

 次点に相当するグランプリを獲得したのは、カナダのグザヴィエ・ドラン(Xavier Dolan)監督(27)による『It's Only the End of the World』。英国のアンドレア・アーノルド(Andrea Arnold)監督の『American Honey』が審査員賞(3位に相当)だった。

 監督賞は『Graduation』のクリスティアン・ムンジウ(Cristian Mungiu)監督(ルーマニア)と『Personal Shopper』のオリヴィエ・アサイヤス(Olivier Assayas)監督(フランス)が受賞した。

 女優賞には『Ma' Rosa』のジャクリン・ホセ(Jaclyn Jose)さん(フィリピン)、男優賞には『The Salesman』のシャハブ・ホセイニ(Shahab Hosseini)さん(イラン)がそれぞれ選ばれた。(c)AFP/Deborah COLE