【5月22日 AFP】五輪開幕まで3か月を切ったブラジル・リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)の観光スポットで、五輪金メダリストのフェルナンド・エチャバッリ(Fernando Echavarri)を含むスペインのセーリング五輪代表チームのメンバーが銃を突きつけられ、金品を奪われる強盗被害に遭っていたことが明らかになった。

 事件が起きたのは観光客に人気のサンタ・テレーザ(Santa Teresa)地区で、襲われたのは五輪開幕に向けて現地で合宿を行っていたエチャバッリ、世界選手権と欧州選手権を制した実績を持つタラ・パチェコ(Tara Pacheco)、トレーナーのサンティ・ロペス・バスケス(Santi Lopez-Vazquez)氏の3人だった。

 スペインセーリング連盟(RFEV)によると、3人は「2丁の銃を持った5人組に襲われたが、幸運にも全員けがはなかった」ということで、襲われた時間帯については、スペイン側が21日の未明、警察側は20日だと発表している。

 警察によれば、奪われたのは「お金の入ったかばんと書類、カメラ」で、すでに当局が「犯人の特定と盗まれた品の奪回」に乗り出しているという。トレーナーは「とても不愉快な出来事だった。5人は若者で、2人は拳銃を構えていた。持っていた荷物はすべて取られたよ」と語った。

 RFEVは「リオの治安は、チームにとっての不安材料の一つ」と抗議。さらに「フェルナンド、タラ、サンティの3人は、できるだけ早く事件を忘れ、練習に100パーセント集中することを希望している」と続けた。

 大会主催者にとって開催地の治安は大きな懸案事項の一つ。ファベーラと呼ばれる世界最大級のいわゆるスラム街は、観光客が足を踏み入れてはならない場所とされていて、重武装の警察とマフィアの銃撃戦が頻繁に繰り広げられている。富裕層の暮らす市南部でも、銃で武装した犯罪者による強盗などは珍しくない。

 セーリング競技ということでは、会場となるグアナバラ湾(Guanabara Bay)の水質と波間を漂うゴミが問題になっていて、選手からも不安の声が出ている。セーリングの船は高速で滑走するにもかかわらず、繊細な構造をしているため、かじやセンターボードにポリ袋が絡んだだけでも事故に発展する恐れがある。(c)AFP