■原爆の威力、認識せず使用?

 トルーマンの側近の中には、原爆投下に反対する人々もいた。後に大統領に就任したドワイト・アイゼンハワー(Dwight Eisenhower)もその一人だった。

 しかし、ルーズベルトが20億ドルを投じて長年水面下で進めてきた計画の成果を断念することについて、トルーマンが真剣に検討した形跡はほとんどない。

 それよりも、原爆に対するトルーマンの認識は、すでに恐ろしかった従来型兵器をさらにおぞましくしつつ、有用さを増した兵器、というものだった可能性が高い。また、原爆投下がその後、50年にわたるソ連との核開発競争につながるとは、思いもしなかっただろう。

 トルーマンは原爆投下直後、市民の犠牲者数についてほとんど言及しなかった。数日後には、広島は「軍事基地」だったとすら話し、原爆がもたらした破壊の規模を正しく認識していないのではないかとの疑念が広がった。

 ただ、ホワイトハウス(White House)は、オバマ大統領が原爆投下の是非というより広い問題に切り込むつもりだとの観測を、直ちに否定した。ジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)大統領報道官は、オバマ大統領がトルーマンの立場に置かれたら同じ決断をするかとの問いに対し、「大統領は、部外者が他人の立場で考えるのは難しいと答えるだろう」と返答し、次のように続けた。

「大統領は、トルーマン大統領がこの決定を適切な理由に基づいて行ったことを評価しているはずだ。トルーマン大統領は米国の安全保障上の利益と、恐ろしい戦争の終結に重きを置いていた。この決定で犠牲者が出るであろうことを、完全に認識していた」

「過去を振り返り、後知恵で判断するのは難しい」

(c)AFP/Andrew BEATTY