【5月19日 AFP】イタリアの探検家クリストファー・コロンブス(Christopher Columbus)が1493年に書いた手紙が18日、イタリアに返還された。数年にわたって行われていた手紙の盗難および真贋をめぐる調査もこれで終わりとなる。

 手紙は、支援を受けていたスペインのフェルディナンド(Ferdinand)国王とイザベラ(Isabella)女王に宛てたもので、歴史的な大西洋横断の旅に出発してから1年後に書かれた。

 この貴重な文書は、欧州で「新世界」の知識を広める重要な役割を果たした。コロンブスがポルトガル・リスボン(Lisbon)に到着した1493年3月4日の日付になっていることから、欧州への帰路で書かれたとみられる。

 コロンブスがスペイン・アンダルシア(Andalusia)へ戻った後、手紙の複製がいつくか作られたが、これらは現在、希少なものとなっている。

 このうちの1通は、イタリア・フィレンツェ(Florence)のリッカルディアーナ図書館(Riccardiana Library)が所蔵していたが、いつのまにか模造品とすり替えられていた。

 2010年に手紙が本物でないとの情報が浮上した後、希少本を取り扱う米ニューヨーク(New York)の書店が、1990年に手紙を匿名の売り手から購入していたことが判明。その後、1992年後半に行われた競売である個人によって30万ドル(約3300万円)で落札され、2004年に米議会図書館(US Library of Congress)に寄贈されていた。

 米司法省(Department of Justice)は、18日に伊ローマ(Rome)のアンジェリカ図書館(Angelica Library)で開催された式典で、手紙が正式にイタリア側に返還されたことを確認した。(c)AFP