【5月17日 AFP】カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は16日、トランスジェンダー(性別越境者)をヘイトスピーチ(憎悪表現)や差別から守る法律の導入を目指す意向を表明した。

 LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)など性的少数者の権利擁護団体「ファンデーション・エマージェンス(Fondation Emergence)」がモントリオール(Montreal)で主催したイベントで演説したトルドー首相は、「私たちはあらゆる障害を克服し、さまざまな闘いに勝ち、その勝利を祝ってきたにもかかわらず、いまだに不当な扱いの目撃者となり、時には犠牲者にもなっている」と指摘。「私たちは、真の平等を要求し続けなければならない」と訴えた。

 ジョディー・ウィルソンレイボールド(Jody Wilson-Raybould)法相に宛てたトルドー首相の委任状によれば、新法は、人種、宗教、年齢、性別、性的指向に基づいた差別を禁止するカナダ人権法に「性自認」の項目を追加し、刑法が定めるヘイトスピーチの保護対象にトランスジェンダーの人々を加える内容。

 法案は、LGBT嫌悪に反対する「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日(International Day Against Homophobia, Transphobia and Biphobia)」の17日に、同法相によって正式に発表される予定だ。

 カナダ議会では以前にも同種の法案可決に向けた動きがあったが成立には至らなかった。しかし、現在の下院はトルドー首相が率いる自由党(Liberal Party)が過半数を占めていることから、今回は容易に可決される見通しだ。

 一方、隣国の米国では、トランスジェンダーの権利を制限する法律が大きな論争を巻き起こしている。先週には、トランスジェンダーの公衆トイレ使用を制限する南部ノースカロライナ(North Carolina)州の州法をめぐり、同州知事と米政府の訴訟合戦が勃発した。(c)AFP