【5月15日 AFP】スウェーデンの首都ストックホルム(Stockholm)で14日、欧州国別対抗歌謡祭「ユーロビジョン・ソング・コンテスト(Eurovision Song Contest)」第61回大会の決勝が行われ、ウクライナ代表の歌手ジャマラ(Jamala)さんが最大のライバルであるロシアを破って優勝した。

 開票は張り詰めた空気の中で行われた。観客の票が開票されるまではオーストラリア代表が逃げ切るとみられていたが、第2次世界大戦(World War II)中に行われたクリミア(Crimea)半島の先住民族タタール(Tatar)人の国外追放に関する曲「1944」を心を込めて歌ったジャマラさんが優勝した。

 ジャマラさん自身も、クリミア出身のタタール人。近年のロシアによるクリミア併合を遠回しに批判しているして物議を醸したが、534ポイントを獲得した。審査員の間で人気の高かったオーストラリア代表ダミ・イム(Dami Im)さんが511ポイントで僅差の2位、ロシアの元子役スター、セルゲイ・ラザレフ(Sergey Lazarev)さんが491ポイントで3位となった。

 ロシア国営ロシア1(Rossiya 1)テレビのコメンテーターは、ジャマラさんの優勝をたたえたが、クリミアのタタール人問題については言及せず、ジャマラさんの歌を「家族について」の歌だと述べるにとどめた。

 同歌謡祭が1956年に始まって以来、最も多くの視聴者を集めたとみられる今回の大会は、土壇場の見事な逆転劇で幕を閉じた。 (c)AFP/Hugues HONORE