【5月15日 AFP】スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)は14日、今季最終節でグラナダ(Granada CF)に3-0で勝利し、通算24回目のリーグ制覇を果たした。そこで今回、レアル・マドリード(Real Madrid)やアトレティコ・マドリード(Atletico de Madrid)といった欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2015-16)ファイナリストとの優勝争いを制し、バルセロナが連覇を達成した5つの理由をまとめた。

■大黒柱メッシ不在の危機を乗り越える

 バルセロナは昨年9月、ラス・パルマス(UD Las Palmas)戦で膝の靱帯(じんたい)を痛めたエースのリオネル・メッシ(Lionel Messi)が2か月の戦線離脱を強いられ、優勝を争うライバルたちにとって絶好の機会が訪れたかのようにみえた。

 しかし、バルセロナでは最強の3トップを構成する残りの2人、ルイス・スアレス(Luis Suarez)とネイマール(Neymar da Silva Santos Junior)が健在だった。バルセロナはメッシ不在の6試合中5試合で勝利を収め、順位を落とすどころか一気に首位へ浮上した。

 さらに驚きだったのは、メッシの復帰戦となったレアルとの伝統の一戦「エル・クラシコ(El Clasico)」だった。バルセロナは4-0でレアルに大勝したが、メッシが途中出場した時点で試合はすでに3点差がついていた。この試合を境に、バルセロナはレアルに一度も抜かれることなく、首位の座を守り切った。

■爆発したスアレスの得点力

 最終節のグラナダ戦でハットトリックを達成したスアレスは、今季のリーグ戦得点数を40に伸ばした。メッシとクリスティアーノ・ロナウド(Cristiano Ronaldo)以外では、リーグ得点王に与えられるピチーチのトロフィーを7年ぶりに獲得した選手となった。

 驚異的なペースで得点を量産してきたメッシとロナウドを除けば、過去10年間のリーグ戦でシーズン40得点を記録した選手はスアレスのほかに一人もいない。

 今季の公式戦では通算52試合出場で59得点を記録しているスアレスだが、重要なのは彼がチームにとって不可欠なタイミングで実力を発揮してきたことだ。メッシ不在時には10試合で12得点を稼ぐと、シーズン最後の5試合では14点をたたき出し、失いかけていたリーグ優勝のタイトルを手元に引き戻した。

■アトレティコ戦での逆転勝利

 現在の欧州サッカーで最強の守備を誇るアトレティコから逆転勝利をつかむことほど困難な任務はないかもしれない。今季の欧州チャンピオンズリーグでは、バルセロナ、そしてドイツ・ブンデスリーガ王者のバイエルン・ミュンヘン(Bayern Munich)もその壁を攻略できず、大会から姿を消している。

 しかし、バルセロナはアトレティコと対戦した2度のリーグ戦でいずれも2-1の逆転勝利を収めている。ここで手にした勝ち点6があったからこそ、バルセロナはタイトル争いでアトレティコを上回ることができた。

■4月のスランプからの脱出

 バルセロナは昨年10月から今年3月にかけて公式戦39戦無敗を記録し、アトレティコに勝ち点9差、レアル同12差をつけ、リーグ連覇は時間の問題のようにみえた。

 ところが、レアルとのクラシコに敗れて無敗記録が途切れると、チームは13年ぶりの3連敗を喫し、三つどもえの優勝争いを自ら演出してしまった。

 それでもバルセロナはもう一度立て直し、最後の5試合で全勝、24得点無失点でリーグ戦を締めくくった戦いぶりは、まさに王者と呼ぶのにふさわしいものだった。

■ピケの復調

 今季だけで計130得点を挙げたスアレス、メッシ、ネイマールの南米トリオばかりが注目されがちなバルセロナだが、今季はジェラール・ピケ(Gerard Pique)が欧州最高峰のディフェンダーとしての姿を取り戻し、乱れがちなチームの守備を支えたことも大きかった。

 実際、4月に陥ったスランプは、3月末のビジャレアル(Villarreal)戦でピケが途中交代したことがきっかけだという見方もできる。

 SNSなどでの物議を醸すコメントから、シーズンを通して批判を浴びてきたピケだが、ピッチ上での振るまいはチームが何よりも必要としていた真のリーダーそのものだった。(c)AFP/Kieran CANNING