【5月15日 AFP】国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は、イスラエルとパレスチナの衝突が激化した昨年10月から12月に、パレスチナ人の子ども25人が死亡し、拘束された子どもの数が過去7年間で最高を記録したとする報告書を発表した。

 ユニセフは報告書で、「イスラエルの過度な防衛力使用に対し深刻な懸念が高まっている。特に、ナイフを使用した攻撃を実行、もしくは実行したとみられるパレスチナ人の子どもが、イスラエルの治安部隊に射殺された事件について懸念している」と述べた。

 報告書によると、襲撃が急増した同期間に、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)とエルサレム(Jerusalem)東部を中心にパレスチナ人の子ども1300人以上が負傷。一方、ヨルダン川西岸とエルサレム西部で負傷したイスラエル人の子どもは3人だったという。

 ユニセフは、ヨルダン川西岸のへブロン(Hebron)で昨年10月25日、17歳の少女が「イスラエル国防軍(IDF)に取り調べのため拘束され、少なくとも5発撃たれて射殺された」事件を引き合いに出し、「イスラエル当局は、少女が警官を刺そうしたと述べたが、目撃者によると、少女は撃たれた際にいかなる脅威も示しておらず、自分はナイフを持っていないと叫んだだけだった」と述べた。

 昨年7月から9月に死亡したパレスチナ人の子どもは4人、負傷した子供は165人と、同10月から12月に比べ格段に少なかった。

 ユニセフはまた、イスラエル軍に拘束された12~17歳のパレスチナ人の子どもの多さにも懸念を表明。イスラエルの刑務当局によると、昨年12月末にその数は422人に上り、2009年3月以来最も多かったという。イスラエルの法律では、12歳以上のパレスチナ人の子どもを裁判にかけることができる。

 昨年10月以降に発生した一連の衝突で、パレスチナ人204人とイスラエル人28人が死亡。イスラエル当局は、死亡したパレスチナ人の大半は、刃物や銃、車を使った襲撃を行ったとしている。(c)AFP