【5月13日 AFP】ドーピングスキャンダルの大波にのみ込まれているロシアとケニアの有力陸上選手たちが、開催まで3か月に迫るリオデジャネイロ五輪に出場できない可能性が現実味を帯びてきた。

 カナダのモントリオール(Montreal)で12日に行われた世界反ドーピング機関(WADA)の会合で、ケニアは同国のドーピング検査機関が国際ルールに違反していると裁定され、危機に追い込まれた。

 WADAのコンプライアンス審査委員会(CRC)で責任者を務めるルネ・ブシャール(Rene Bouchard)氏は、ケニアのドーピング検査機関について、「即刻、不適格とみなす」と宣言し、これによってケニア陸上選手のリオ五輪出場には疑問符がつくことになった。

 一方、ロシアの反ドーピング機関(RUSADA)も、国ぐるみのドーピング行為を行った証拠がWADAの独立委員会によって発覚し、国際陸上競技連盟(IAAF)から暫定資格停止処分を科されたことを受け、昨年に不適格を宣言されている。

 ロシアの陸上選手は、来月IAAFが処分を解除しない限り、リオ五輪の出場を禁じられている。しかし、WADAが今回の会合を行う中、2014年に開催されたソチ冬季五輪での薬物疑惑について、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が新たな暴露記事を掲載した。

 同紙の報道では、メダリスト15人を含む多くのロシア人選手が、組織的ドーピング計画のバックアップを受けていたと、ドーピング検査所の元所長が証言したという。

 この報道で、ロシアの処遇について国際オリンピック委員会(IOC)とIAAFへの重圧が増す中、WADAのクレイグ・リーディー(Craig Reedie)会長は、ケニアが五輪に間に合うように反ドーピング法案で不正を一掃することに期待を寄せている。

 リーディー会長は、ケニアが五輪前に適合したと認められる可能性について質問されると、「イエスだ。どれだけ早くできるかが問題で、ボールは彼のコートにある」と答えた。

 ケニアは、これまで2回にわたりWADAが設定した期限までにドーピング対策を示せておらず、今年はじめに反ドーピング計画を退けられた際には、プログラムが「緊急事態」に置かれていると警告されていた。(c)AFP