【5月12日 AFP】2020年の東京五輪招致をめぐって、招致委員会から関係者へ不正な送金があったのではないかと英紙が報じた件について、日本側は疑惑を否定し、「クリーンな」招致を強調した。

 この件については、英紙ガーディアン(Guardian)が11日、シンガポールの秘密の銀行口座へ「東京五輪の招致委員会、もしくはその代理から130万ユーロ(約1億6000万円)が支払われたようだ」と報じた。

 この疑惑は、フランス当局が国際陸上競技連盟(IAAF)元会長のラミーヌ・ディアック(Lamine Diack)氏に対して行っている、汚職疑惑の大規模調査の過程で浮上したもの。元会長は、東京がイスタンブール(Istanbul)、マドリード(Madrid)を破って招致を成功させた2013年まで、国際オリンピック委員会(IOC)の委員も兼任していた。

 ガーディアン紙は、送金口座がディアック元会長の息子であるパパ・マッサタ・ディアック(Papa Massata Diack)氏へつながっていると報じている。

 これに対して、菅義偉(Yoshihide Suga)官房長官は、「招致はクリーンな形で行われたと認識している」とコメント。「フランスの司法当局から要請があれば、適切に対応する」と話し、報道を根拠に招致チームへの聴取などを行うつもりはないことを明らかにした。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(The Tokyo Organising Committee of the Olympic and Paralympic Games)の広報担当を務める小野日子(Hikariko Ono)氏は声明で、「組織委の理解とは全く異なります。東京は、IOCにベストな提案をした結果として、招致を獲得したものと確信しています」と発表した。

 IOCも、以前からこの疑惑については「何の証拠もない」と主張し続けている。

 IAAF会長を15年にわたって務めたラミーヌ・ディアック氏は、ロシア選手のドーピング違反を隠ぺいする見返りに、選手や同国関係者から100万ユーロ(約1億2500万円)以上の賄賂を受け取ったとして、フランス当局から収賄、資金洗浄、共謀の罪で起訴され、現在は保釈中の身となっている。(c)AFP