【5月10日 AFP】10～24歳の若者の健康問題は、世界的に過去数十年間軽視され、十分な投資が行われずにいたことで悪影響を受け、未来の世代の育成を阻む恐れも出てきたとする研究論文が10日、英医学誌ランセット（The Lancet）に発表された。

　世界的な取り組みにより5歳以下の幼児の健康状況は大きく改善したが、この論文で10～24歳と定義されている若者ではそれほど改善していない。

　この年齢層には人類の4人に1人に当たる約18億人が属しているが、その死亡率低下のペースはより緩やかだ。主な死因は交通事故や自殺、暴力、結核、溺死、飲料水を原因とする病気、不十分な衛生環境などで、これらは以前から変わっていない。

　豪メルボルン大学（University of Melbourne）など4つの研究機関の研究者らが共同でまとめたこの論文によると、1990～2013年の間で上昇率が最も高かった健康リスクは無防備な性行為だった。若者10人中9人は、これらのリスクが大幅に高い発展途上国に住んでいる。

　論文は、「若者全体の3分の2は、HIV（ヒト免疫不全ウイルス）やAIDS（エイズ、後天性免疫不全症候群）、低年齢での妊娠、うつ病、けが、暴力など、予防や治療が可能な健康問題が日常的な脅威であり続けている国々で暮らしている」としている。

　20～24歳のリスク要因では、この年齢層に対する世界全体の医療費支出総額のうち7％を占めると推定されているアルコールがトップとなり、麻薬の使用がこれに続いた。

　また、同誌には米ワシントン大学（University of Washington）の研究チームによる関連論文も掲載され、今日の若者を苦しめ、死に至らしめている事柄についての詳細なデータが明らかにされた。

　10～14歳ではHIVやエイズ、交通事故、溺死が死因全体の4分の1、腸疾患や呼吸器感染症、マラリアが同21％を占めた。15～19歳と20～24歳ではともに事故が死因のトップとなり、自殺と暴力がそれに続いた。(c)AFP