【5月9日 AFP】ロシアの国ぐるみのドーピング事情を告発した人物が、8日に米CBSテレビで放送された報道番組「60ミニッツ(60 Minutes)」の中で、ロシア人選手によるドーピングは、一昨年のソチ冬季五輪でも行われていたと話した。

 露反ドーピング機関(RUSADA)の元職員で、現在は米国に住むヴィターリー・ステパノフ(Vitaly Stepanov)氏は、同機関のグリゴール・ロドチェンコフ(Grigor Rodchenkov)元所長から、ドーピングのもみ消しを指示されたと明かした。

 ロシアのスポーツ相は7日、インタビューの予告を受けてコメントを出し、ソチ五輪でロシア人金メダリストの少なくとも4人がステロイド(steroid)を使用していたという疑惑は「ただのうわさだ」と一蹴していた。

 8日に放送された全編で、ステパノフ氏は、ロドチェンコフ元所長との会話を15時間以上も録音したことを明かし、ロシア連邦保安局(FSB)の職員が「ソチ大会におけるドーピング検査の全作業を管理下に置こうとした」と説明した。

 ロドチェンコフ元所長は、60ミニッツの取材に応じなかったものの、レポーターは録音したテープの中で、ドーピングを行ったメダリストに関する「ソチリスト」なるものについて話しているのを聞いたという。

 ステパノフ氏と、陸上選手のユリア・ステパノワ(Yuliya Stepanova、旧姓:リサノワ〈Rusanova〉)夫人は、2014年12月に放送されたドイツのドキュメンタリー番組で、ロシア陸上競技連盟(ARAF)による組織ぐるみのドーピングを告発。これを受けて、世界反ドーピング機関(WADA)の独立委員会が行った調査でも、告発の内容を裏付ける証拠が見つかっている。

 昨年11月、国際陸上競技連盟(IAAF)はロシア人選手に資格停止処分を科しており、同国陸上選手に対するリオ五輪出場の可否は、6月の審議会で決定されることになっている。

 米反ドーピング機関(USADA)のトラビス・タイガート(Travis Tygart)会長は、60ミニッツの中で、ロシア陸上界が資格回復に向けて十分な努力をしていないと主張し、USADAは、ロシア人選手のリオ五輪出場に「賛成しない」と話している。

「ロシアの出場で、クリーンな選手の権利を犠牲にすることはできない」

(c)AFP