【5月14日 AFP】激しいタックルにホイッスルを鳴らしてファウルを宣告すると、「台所に帰れ!」と罵倒される――それでも、荒っぽい南米サッカーの世界で数少ない女性審判を務めているメラニー・ベルメホ(Melany Bermejo)氏にすれば、男性選手から浴びせられる言葉としては優しいほうだ。

 ピッチ上では体を押されたり、唾を吐きかけられたり、侮辱されたり、言い寄られたりしながらも、ベルメホ氏をはじめ一握りの女性審判は、男性中心のサッカー界でプロフェッショナルのトップに近づいている。

 メキシコリーグで副審を務めている42歳のリクシー・エンリケス(Lixy Enriquez)氏は、「男性の2倍は努力しなければならない」と語る。

 体育教師をしている37歳のベルメホ氏は、母国ペルーの2部リーグで審判を務めているが、世界中にいるほとんどの女性審判と同様に線審や第4審にとどまり、トップリーグの扉をこじ開けた経験はない。

 しかし、何人かの例外もいる。ウルグアイでは、33歳のクラウディア・ウンピエレス(Claudia Umpierrez)氏が、今年2月に男子サッカーのトップリーグで審判デビューを果たした。また、ベネズエラのトップリーグでは、3年にわたり2人の女性審判が活躍している。

 南米以外を見渡すと、ザンビアでは数少ない女性審判としてグラディス・レングウェ(Gladys Lengwe)氏がトップリーグに到達し、ウクライナではカテリーナ・モンズル(Kateryna Monzul)氏が同じ道を進むとみられている。

 国際サッカー連盟(FIFA)に登録しているプロサッカーの女性審判は720人に上り、その内訳は主審が324人で副審が396人となっている。

 しかしFIFAのデータによれば、加入している全209連盟のうち、60の連盟では登録している女性審判が一人もいない。