【5月4日 AFP】香水関連会社で8万ユーロ(約980万円)を超える年俸を得ていたフランス人男性が、仕事が退屈になり「プロのゾンビ」にさせられたとして元上司を提訴した。

 フレデリック・デナール(Frederic Desnard)氏(44)は 2日、「退屈症候群」になったとして損害賠償36万ユーロ(約4400万円)の支払いを求める訴えを労働審判所に起こした。

 デナール氏は香水会社アンテルパルファム(Interparfums)に勤めていたが、7か月間の病気休暇を取った後、2014年9月に解雇された。

 デナール氏の弁護士によると、同氏は「燃え尽き症候群」の反対である「退屈症候群」のため自動車の運転中にてんかんの発作が起き、交通事故を起こした。この事故で同氏は数日間意識不明となり、その後病気になった。

 デナール氏は2006年12月にマネジャーとしてアンテルパルファムに入社した。最初は仕事一筋の模範的社員だった。

 だがデナール氏の仕事量は2009年から減り始め、2012年にアンテルパルファムが主要顧客を失い従業員を解雇し始めてから状況はさらに悪化。何もすることがなくなった同氏は、同社社長の使い走りをするようになった。

 仏紙ルモンド(Le Monde)のインタビューでデナール氏は「1日の仕事は20分から40分」で終えてしまっていたとし 「もう何に対してもエネルギーを失ってしまった。何もしないで給料をもらうのは罪であり恥だと感じた。自分は会社で見えない存在になったという気がした」と述べた。

 医師の診断書は出ているが、フランスの労働法の下でデナール氏が不当解雇されたと主張して裁判で勝つには、デナール氏側が病気と労働条件との関連を証明しなければならない。

 アンテルパルファムの弁護士はデナール氏の「戦略」に疑問を投げかけている。というのもデナール氏は以前、自分を働かせ過ぎたとして同社を労働審判所に提訴したことがあったからだ。

 労働審判所は7月27日に判決を出す予定。(c)AFP