【5月2日 AFP】南スーダンの2年に及ぶ内戦で、どのように人々が死んでいったかについての詳細な記録はあるが、殺害された人の数は明らかになっていない。

 男性や女性、子どもたちが銃撃され、やりで突かれ、焼かれ、去勢され、首をつるされ、水死させられ、車にひかれ、窒息させられ、餓死させられ、爆撃された。彼らの遺体はその場に放置されたり、ブルドーザーで共同の墓地に運ばれたりしたほか、人肉の儀式で食べられたことも少なくとも1回あった。

 内戦が始まって以来、殺りく行為はエスカレートして全土に広がったが、国連(UN)は当初から死者数を推定1万人としたままだ。

 一方、内戦の経過を綿密に調査している独立系シンクタンク「国際危機グループ(ICG)」は、内戦開始から1年が経過しようとする2014年11月の時点で、少なくとも5万人が死亡したとAFPに語った。

 国連は今年4月になってようやく死者数をICGと同数に修正したが、それは2年間での死者数としている。

 援助関係者や当局者らはオフレコの場で、死者数は30万人に上る可能性もあると語った。この数は、5年にわたるシリア内戦での死者数に匹敵する。

「暴力のレベルは世界の他の場所で見たことがないほどひどい」と、さまざまな紛争地で活動する国際援助団体のスタッフは匿名を条件に語った。2013年12月に内戦が始まって以来、30人以上の援助関係者が殺害されている。

 5万人という数は内戦による直接的な犠牲者の数であり、内戦の影響により死亡した人の数を含めれば、その数字は急増する。

 食糧支援が遮断されたために餓死した人や、病院が破壊されたために治療が受けられず死亡した人などがこれに含まれる。

 この内戦では、複数の武装集団が対立する民族の大量虐殺を行っているのであり、散発的な小さな衝突が起きているわけではない。

 明確に記録されている数字によると、家を追われた人が230万人、緊急食糧支援が必要な人が610万人、兵士に勧誘された子どもが1万5000人、国連の「文民保護」キャンプに避難している民間人が20万人いるほか、国連は支援金として12億1000万ドル(約1300億円)を必要としているという。