【5月2日 AFP】男子テニス、四大大会(グランドスラム)通算14勝のラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)は、これまで自身が受けてきた薬物検査の結果を公表するという提案が、テニス界が直面しているドーピング疑惑の騒動に決着をつける唯一の方法であると確信している。

 ナダルは先月25日、同選手がドーピング違反の隠蔽(いんぺい)工作を行っていたと主張したフランスの元スポーツ相ロゼリーヌ・バシュロナルカン(Roselyne Bachelot-Narquin)氏を提訴。その翌日には、国際テニス連盟(ITF)に公開書簡を送り、プロ生活におけるドーピング検査のこれまでと今後の結果について、公表するよう依頼した。

 ナダルは1日、「僕の信条は簡単に理解できる。僕はテニスを信じていて、それは最も重要なことだ。ライバルとこのスポーツがクリーンであり、テニス界の反ドーピングプログラムが独立したものであること信じている」とコメントした。

「テニスはクリーンであるべきだし、そうであると見られなければならない。僕の考えでは、テニス界に全面的な透明性を持たせることが望ましい。『本日、ラファ・ナダルは反ドーピング検査を受けています。結果は2週間後です』と発表して、2週間後に発表された検査の結果は陰性。そのほうが、みんなにとって分かりやすいだろう。それがスポーツ界にとって明確な方法であるはずだし、君たち(メディア)にとっても単純な話だ」

「考える必要はなく、ただ結果を読めば済むし、みんなが同時に判断できる。見解を述べる必要はなく、確証が得られる」

 これまで9度の全仏オープンテニス(French Open)制覇を誇るナダルは、バシュロナルカン元スポーツ相を訴えたのは自身の名誉を守るためであると強調し、この訴訟で受け取る賠償金についてはフランスの慈善団体に寄付するつもりであると公約した。

「フランスの司法を全面的に信じている」

 テニス界のドーピング疑惑については、グランドスラム通算5勝を誇るマリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)が、今年の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2016)の薬物検査で検体から禁止薬物のメルドニウム(Meldonium)の陽性反応が出たことを認めて以降、この数か月間で注目度が増している。

 男子のトップ選手でナダルのライバルの一人であるアンディ・マレー(Andy Murray、英国)も、テニスの各統括機関に対してドーピング違反の取り締まりを強化すべきだと主張しており、自身の検査結果についても公表に応じると話している。

「良いことだと思う。透明性が強化されることが、より望ましい」

 その一方で、世界1位のノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は、テニスのイメージを守る責任があるのは、選手よりも関係機関にあるとする考えを改めて強調した。

「この問題で、僕たち選手は明らかに多くの疑問の目にさらされている。僕ら全員に言えることは、これは本当のところ、この話題について話を掘り下げる立場にいないということだ」

 ジョコビッチは、「この問題は、テニス界で責任者の立場にいる関係機関や組織に任せる必要がある」としながらも、ナダルがバシュロナルカン氏を訴えた決断を擁護している。

「彼は自分自身やイメージの尊厳、これまで成し遂げてきたこと、そして積み上げてきた結果を守るために、正しいことをしたと思う」

(c)AFP/Kieran CANNING